SWINE & PUNISHMENT / PIG

SWINE & PUNISHMENT / PIG
今年リリースされた『THE GOSPEL』のリミックスアルバム。これ迄リミックスはEPに収録する方針だったが、全編リミックスはなんと今回が初。対象曲はシングルカットされた「The Diamond Sinners」「Found In Filth」の他、「Viva Evil」「The Fly Upon The Pin」、『Compound Eye Session』から続く「Drugzilla」の5曲(計14曲分)に、アルバム未収録1曲を加えた内容。リミックスの内3曲は『The Diamond Sinners』から、4曲はUSツアー限定12インチ『Rise & Repent』から。

今現在そう云う世代や時流なのかどうかは判然としないが、リミックスの解釈も90~00年代に比べると大分落ち着いてしまったな、と云うのが第一印象。どちらかと言えばこれはアレンジの範疇ではないのかと感じるぐらいに原形の色濃く残るトラックが多く、アーティストを並べた割にはパッとしない仕事の結果が多かった。METROPOLISが抱える現在のEBM/インダストリアル人脈を網羅している点然り、そのファン層がそもそもこうした方針を好んでいるのであれば正しい制作だろうとは言えるが、同年代をくぐり抜けた筈のtweaker(クリス・ヴレナ)やSkold、MC Lord Of The Flies(マーク・ヒール)のそれなんかは名折れと言っても良いぐらいつまらなかったのが何とも居たたまれなかった。巧い具合に解釈していたのは意外なことにKangaカヴァー曲に至るまで露骨にNINの影響受け過ぎなLAの女性EBM/インダストリアル)と、本編を共作しているZ.Marr(St. Gregory名義)だった。
余談になるが、バイオグラフィーを見る限りでは90年代からドイツで活動していたEBMバンドらしいInertiaのシングル『Stormfront』でのピーター・ガブリエル「Game Without Frontiers」、本作収録のリミックス同様矢張りストレートなカヴァーではあるがEBM解釈と云うことで一寸良い。

アルバム未収録の「Violence」はその名に反して往年の「Watts」や「Transceration」を汲むコード主体のアンビエント。と書くとまた例の使い回しかと捉えられそうだが、あくまで雰囲気の話であって実態としては完全新作。この作風に関しては殆どぶれていないし、共作が多いとは言え今回のリリースでは大分頑張って完全新曲を揃えているので、往年のインダストリアル感が抜けてはいても素直に喜ばしい。実は今回最もインダストリアルなのは『Rise & Repent』収録の表題曲だったりするので、こちらも一般リリースしてほしい。マジで。

 

 

2018/6/9追記:『Rise & Repent』はARMALYTE INDUSTRIESでリリースされた。12インチは限定500。

 

 

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