NO WATER / Dhidalah
日本国内のサイケ/クラウトロックを一手に引き受けているんじゃないかというラインナップを誇るGuruguru Brainレーベルから、2017年にリリースされた2トラックEP。バンド名の読みはダイダラ。これ迄馴染みが無かった上、余りにも情報が無いのでbandcampのレーベルインフォを参照したところ、2007年から活動している「クラウトロックがドゥームロックに接近したかのように屡々表現される」3ピースバンドとのこと。確かに一度聴いただけでも判る通り、3ピースの音数的な余地を最大限に活かしたベースとギターの太さでこれでもかというぐらい追い立てるドライヴ感と歪み加減が大変格好良い。国産サイケと言えば代表格はAcid Mothers Templeだが、彼処迄本気でコアなサイケにはせず、あくまで今現在のロックを基準としている節が更に良い。
「GRB」は初期のAsh Ra Tempelを彷彿とさせるワンコード押し切りの攻撃的な前半、2サイクルのベースリフを主体とした後半の二部構成になっている。「NO WATER」は、スペースリバーブに包まれたトラディショナルな雰囲気のリフ(タイトルは何処となくこの空間処理とリフからツェッペリンの「No Quarter」を文字ったのではないかと云う気がする)から、一転してドロップDの図太いリフを6/8で繰り広げつつ、エコーで荒く重ね合わせたソロを載せて展開していく構造。2トラック何れも全長10分超であるにも拘わらず、シンプルで掴み易い故か時間の長さを感じさせず、寧ろ更に延々と長尺にしてくれても良いと望んでしまう程度には盛り上がる。ディ・モールト・ベネ。そして何が良いかってこれが2017年作と云う点だ。素晴らしいじゃないか。
基本的にクラウトロック或いはジミヘンのような弾き倒しサイケをベースとしてはいるものの、音の低さや重さに関しては人間椅子やブラックサバス、或いはSUNN O)))を嗜好する人が敏く反応しそうなので、そちら方面にもお勧めしておきたい。幸いなことにbandcampでの配信であり、最低5EURからの価格でFLACがダウンロード出来るので、カジュアルに買って聴いとけ。
と云うことで久々に良い、根っこと云うか芯の太い音を放つ国産ロックを聴いた。恐らくライヴ毎に曲の印象を著しく変えていくタイプではないかと思われるので(あくまで予想)、機会があれば足を運んでみたい。