ROCKS: MILESTONES RELOADED / KMFDM

ROCKS: MILESTONES RELOADED / KMFDM
インダストリアル/EBMでは最も長い芸歴を誇るKMFDMが新作を出すと聞いて前作を今頃聴く(新作が出る→旧作を聴く→新作囓り聴き→そっ閉じ→次の新作が出る→前の新作を聴く→…という自分のいつもの流れ)。ジャケット含めて物凄く一見さんお断りなフォーマットの徹底振りである一方、2004年以降は何処から聴いても別に何の支障も無いという見事な金太郎飴っぷりなので、聴いてもいいし、聴かなくてもいい。聴くけど。一周遅れで。

ということで、新作と言ってもリミックス込の微妙なベスト盤。「エツコさん理想のセットリスト」に加え、一部を本人作業を含むリミックスに差し替えた内容なので特にこれといった真新しさは無い。強いて言うなら「SUCKS」を今時のあれにして、「PROFESSIONAL KILLER」を若干ロック然とさせたぐらい。ギターを抑えて正統派なEBM解釈を施した「KRANK (Victor Love Remix)」は好感触。
本作は30th記念で有料動画配信されていた内容が丸ごと付いているのがポイントで、セットリストの良さは収録時間の違いもあってDVD側の方に寧ろ集約されていると言える。「LIGHT」や「SUN OF A GUN」のような過去の傑作から、「TOHUVABOHU」「KUNST」「KRANK」といったごく最近の代表曲を織り交ぜていて、尚且つパッと聴いた感じでは何れも年代的なギャップが無く整然としているのが特色。この抜群のバランスの良さは最早、『SYMBOLS』以降連綿と積み重ねてきた金太郎飴状態ならではの大いなる成果だと断言して良い。
そしてKMFDMは音は攻撃的である反面、ライヴは非常にだるだるとやっているので落ち着いて観てしまうというギャップがある種面白い。GoPro使ってシンセの上やギターのネックから撮影したりと、アングル的にも面白め。『NAIVE』以降変わらぬウォードラム(と比喩するには余りにも間が抜け過ぎだが)を彷彿とさせるエレドラ叩き、コアな80年代LAメタル若しくは北斗の拳の「汚物は消毒だー!」のモブかと突っ込みたくなるエツコさんのボディアーマー姿もダサくて最高。ザッツオールKMFDM。

元来KMFDMはライヴ盤が余り無く、それがあって尚且つベスト盤付でこの価格となれば購入する価値は大いにある。そういう訳で買って観とけ。

 

追記:EP『YEAH!』がリリースされたので改めて聴いた(既定路線)、ということで微妙に加筆修正。

 

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