ELPは昔から聴いているものの、その昔CD-Extra付でリリースされていた『King Biscuit Flower Hour』を終ぞ聴いていなかったので、同内容の『Greatest Hits Live '74 & '77 King Biscuit Flower Hour』を今更ながら買ってみた。聴いてなかった理由はフルオケを同行しなくなった時期の音源であることと、Eの人がYAMAHA GX-1でよく鳴らしていた音色がその音源仕様の都合もあり平板で余り面白味を感じないこと、ELPの場合はKing Crimsonと違ってそこまでインプロ要素に比重がある訳でも無いので『WORKS LIVE』で事足りていたことだった。
比較対象として一応『WORKS LIVE』も含めつつ聴いてみたら、別ミックスによる鳴り方の違いが割と新鮮ではあった。しっかり定位を考慮している面では『WORKS LIVE』がスッキリしていて聴き易い。ブロードキャストを考慮して中央と左右にざっくり分けた本作の方は、本来の関係性が捻れた表現ではあるが、良質なサウンドボードのブート音源のリマスターを聴いているようで心地良かった。歳の所為で許容範囲が広がった事由もあるのか、GX-1のこの音色でも独特の味わい深さがあって全然良いじゃないかという気持になった。何と言っても「Pirates」の収録が有難い。但し前者は曾て手持ちのCDからリッピングした際に自前で今時の音になるよう補正した音源につき、比較としてはそんなに公正では無い。
で、実はこれがこのエントリーの本題なのだが、Disc2の1974年オクラホマ公演とされている音源は、具に聴いた感想としては『Ladies & Gentlemen』とミックス違いの同一ソースとしか感じられなかった。音質は本作の方が良い。最も判り易いのは「Karn Evil 9: 2nd Impression」で、冒頭のハウリングのような音から「St. Thomas」の引用部分に至る迄のミスタッチを含めた演奏振りが全く一緒だな、と気付いたことから他の曲も比べてみて、どうも「Hoedown」も「Still... You Turn Me On」も同じ音源だろうと判定した。
Eの人の打鍵のタイミングとMoog IIIcの音色(当時の会場の電源事情も踏まえるとVCF含め連日寸分違わぬ音色にするなど不可能に近い)、Lの人のモタりと歌い回し、Pの人独特のフィルインやドラムソロの叩き振りなど、これだけ三人共ジャストに合わせる気の無いバンドが、他の日とそのズレまで同じという謎な超絶技巧をわざわざする筈も無い。しかもバンド内での演奏中の声やオーディエンスの歓声まで同じタイミングで入っている訳であってな。違う音源だと当初思ってたので肩透かしを喰らってしまった。
本作ではThe Civic Center, Tulsa, Oklahoma 1974-03-07の音源とされている。一方、『Ladies & Gentlemen』ではAnaheim Convention Center, Anaheim, California 1974-02-02だと公式には言われている。この不整合と曖昧さ加減はライヴ音源管理がとても雑だったELPあるあるの一例と言えるが(ついでに言えば他の有象無象のライヴ盤同様、これも(C)Leadclassの著作権表記が無いMade in Taiwanの盤なので無許可リリースではないかと思われる)、今迄具体的な指摘が挙がってなさそうな様子にも何か理由があったりするのだろうか。これまでずっとアナハイム公演と言われていた音源が本当にそうなのかという点も含めて結局どれが正確なのか判らなくなってしまった。
上記両方の公演が含まれる『A Time And A Place』ボックスセットの1枚目も対象として、物好きによる検証と結論がそのうち出てくることを期待している。まあなんだ、同日公演のオーディエンス音源が存在するなら話は早いだろうねえと思いつつ。
くそっサラサラ髪のくせして何がカール・パーマーだ(お約束)。