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KINETIC SCULPTURES / Stephen Cornford

KINETIC SCULPTURES / Stephen Cornford
ノイズ/エクスペリメンタルではかなり好きな、Stephen Cornfordの『KINETIC SCULPTURES』。
弦楽器をオープンリールで擦った際の音を収録した「For Violin, Viola and Tape」、ギター本体を機械的にぶん回した際の発振を録音した「Air Guitar」(そういうエアかよという突っ込みはアリだと思います)とか、何れも200枚限定でしか出なかったインスタレーション作品を抜粋したベスト盤的内容。しかもまさかの日本企画盤。最高かよ。
スティーヴン・コーンフォードはUKの某大学で講師を務める傍ら、現代音楽のインスタレーションを制作展示する芸術家として活動している。上記のような楽器を始め、テープレコーダーやターンテーブル、イヤフォン、エンジンといった機器を自ら電子工作して改造し、駆動音や自己発振をアンプリファイアして空間に再配置することに依って、本来の機器の用途から外れた側面で発生する(且つ平素想像し得ないような)音を彫り出す作風である。端的に言えばディコンストラクションということになるが、極端にミニマイズされた箇所から展示空間に迄一挙に引き出す業やその為の改造の発想など、完成品に至る迄の流れも含めて非常にエキサイティングな面白さを伴うアーティストだと言える。何分この世界なので知る人ぞ知る、になってしまってはいるが、ジョン・ケージの『Cartridge Music』を演奏・CD化したりもしているので、そちら方面でも多少は名が知れているのではないか、と思う。

http://www.vlzprodukt.com

 

ノイズ/エクスペリメンタルは非常に小さく且つマニアックなジャンルなので、限定50枚とか100枚とかはザラだ。世界中のお好きな方々を相手にしていながら規模が同人並で、リリース情報を見逃したら終わりな世界。でもこれはそれなりの枚数はプレスしてそう。
あと、残念なことに本作には収録されてないけども、日本でも展示された『Binatone Galaxy』を強くお勧めしたい。テープを全抜きしたカセットテープにアンプとマイクを仕込んでいろんなテープレコーダーで再生、ハーフの擦れる音やレコーダーの駆動音を録音した作品。意外なぐらい心地良い音で、複数同時に鳴ると水の流れの音にも似てくる不思議。だがこれまた残念なことに限定300枚なのでとうの昔にOut of stockになっている。たまにDiscogsやebayでは見掛けるので、お探しの際はそちらで。

 

 

Stephen Cornford (official)
http://www.stephencornford.net/discog.html

 
2020-12-30追記:bandcampでの音源配信が開始されていた。廃盤品を入手して聴く機会が無いからロスレス配信してくれ、と本人に直接要望してから約二年、漸くやってくれた。是非とも購入して聴いてみてほしい。
https://stephencornford.bandcamp.com/
 

 

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