キース・エマーソン。適当力技ドラマーなPの人が最もしぶとく、最も著しく劣化したLの人の方が先かななどと思っていたんだけども(不謹慎)、まさかEの人が先に、しかもあのような形で亡くなるとは想像もしてなかった。この御時世にモーグと組んで自分モデルのMoog Modularを台数限定復刻させるあほな仕事とかしてたぐらいなので。確かに90年代に局所性ジストニアを起こして以後、徐々に恢復はしたものの全盛期のような弾き方は到底出来ず、演奏家としては宜しくないギャップを抱えたままこの歳まで至ってしまったことに対して忸怩たるものが多分にあったのであろうと想像は出来ます。
近年リマスターは出たけど余り仕事が良くなかったのでさほど聴いてはいなかったけど、わざわざそういうのを買い直したりMFSL盤が手放せないぐらいには好きなので、大変に残念な訃報でした。ボウイといいEW&Fのモーリス・ホワイトといい、一時代を築いたアーティストが次々居なくなっていくなあ。
エマーソン、レイク&パーマーのキース・エマーソンが逝去。享年71歳。自殺と判明 | NME Japan http://nme-jp.com/news/16222/
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ELP10選+α。「自分抉りすぎやねんこんなん知ってんねんでかっこええやろとか思てんやろ」と某酔っ払いについ最近笑顔でdisられたけどこの歳でそういうのはない。けどオタクを患っている身として引き続きやる。
初っ端から調律師が蛇蝎の如く嫌う内部奏法。ELP始まりにして全てという印象も。
「TARKUS」は1972年のMAR Y SOLでの音源が一番クオリティ良いんですが、無いようなので『Ladies & Gentlemen』の方。この頃のアナログシンセはタンス(Moog IIIc)でもうまく複数ポリの発音をさせるのが難しかったので、オシレーターのピッチを変えてsus4のような和音を出したりしてます。「Stones Of Years」はAORのハシリと言われてるけどほんまかいな。
「古い城」をベースとして、ブルースの変奏なのかブルースを用いた変奏なのかで色々解釈がある曲(要は歴としたブルースの進行ではない)。中間で何故かビル・エヴァンスの「Interplay」。十代の頃、これを聴いてほんとに良いオルガンの音だなあと聴き惚れてた。透明感のある緑。
上と同じ音源。バーバヤーガはロックっぽいと言えば確かに。ムソルグスキーは印象派の時代のひとだから音楽的には比較的現在に近いしねえ。展覧会の絵そのものがクラシックに於てはプログレ的だし。
バルトークの「Allegro Barbaro」の変奏をロックに持ってきたという発想が良いよなあ。出自からして確かにロックだわあれ。ベースにファズも良い。
H.R.ギーガーの絵に見られるようなSFとしてのELP。山場のコード感とギーガーの「Biolandscape」諸作のような空間が素晴らしい。BPMが遅いほどずれるPの人超うける。
上に同じ。この頃はシーケンサーすら存在しなかったので、ライヴではさも当然であるかの如くミニモーグでベースを左手弾きしながら右手でオルガンソロ。変態。
単体抜き出しが無かった。でも手の動きが判る他者の演奏。これを二十代半ばで自ら弾いて作ったEの人の超絶ピアニストっぷりな。
変態ピアノその2。冒頭からして、拍子はともかく音符の連なりと運指がもうおかしい。あのなこういうリズムだ、とEの人がPの人に教えてた動画が何処かにあった筈だけど見つからなかった。リングモジュレーターを通したシンセドラムの箇所で、何故かしれっと「St. Thomas」。
最後のELP。あの歳でまたここまで弾けるようになったのになあ。
エマーソンのソロであれば『Inferno』のメインテーマ。本当に美しい。ELP楽曲含めたとしてもこれが最高だと思ってる。
ソロではお馴染み幻魔大戦。WORKSツアーの頃からGX-1(エレクトーンの大親分的なアナログシンセ)ばかり使ってたけどこれの音は単調であんま良いとは感じない。音楽はいい。
60年代末、既にEの人のやりたいことが決まってたELP以前。